税務署の資産課税職員の習慣
コラム
2022.11.28
国税の世界で資産税とは、税務署における資産課税部門が所掌する税目、つまり相続税、贈与税及び譲渡所得税を指します。
資産税の特徴として、税額が大きく、かつ複雑な特例が多いことが上げられます。特例をあげれば、相続税であれば小規模宅地特例や事業承継税制などの納税猶予特例、贈与税であれば教育資金贈与特例や住宅取得資金贈与特例、譲渡所得税であれば居住用3,000万円控除特例や買替特例などがあります。
これらの特例は、法律の建付けとして、相続税法や所得税法などの本法とは別に租税特別措置法で規定されており、その措置法、施行令そして施行規則を読み解くことが難解なため、資産税経験の少ない税理士などは資産税税目を敬遠する傾向にあります。
租税特別措置法は、その時代時代に合わせた政策が反映される傾向にあるため、政策税制と呼ばれることもあり、その取扱いは毎年変更されることもあります。このような背景から、現在私が部長を務めている千葉県税理士会千葉西支部の研修部では、圧倒的に資産税関係の研修が多く希望されるのもうなずけます。
私が国税専門官として税務署に初めて配属された江戸川税務署(現在の江戸川北税務署です)では、その当時の上司や先輩から参考書やQ&Aを読むのもいいが、まずは税法を読んで理解したうえでそのような書籍を参考にするようにとアドバイスをいただきました。そのおかげで現在も、特例適用については必ず条文を読み解くことを習慣にしております。
これら税法を読み解く習慣は、国税の中でも資産課税職員にある独特の習慣であり、国税退職後のOB税理士となってからも強いスキルの礎となっており、実際、私の先輩や同僚である資産課税出身のOB税理士は色々な方面で活躍されております。