事業承継について
豆知識
2022.08.22
日本経済の高度成長期で活躍してきた企業の事業承継についての相談が徐々に増えてきております。
事業承継の問題は、創業者が高齢となり体力の衰えと電子商取引に代表されるIT・情報化に順応できないという側面から、次世代に事業を引き継がなければならないという考えから表面化することが多いかと思います。
事業承継のパターンとして、実務的に大別すると以下の4つケースがあるかと思います。
1 以前から親子で経営している事業で、親の病気や死などからそのご子息へ自然にバトンタッチするケース(親族内承継)。
2 あらかじめ決めている後継者に対し、創業者から徐々に権限を委譲しているケース(親族内承継・従業員承継)。
3 親が経営している事業で、その親の死を起因に、ご子息が急遽事業を引き継ぐケース(親族内承継)。
4 後継者がおらず、事業譲渡又は廃業するケース(M&A)。
つまり、後継者をあらかじめ決めているケースとそうでないケースがあり、上記1と2が後継者を決めているケースで上記3と4が決めていないケースです。
当然、後継者が決まっている方がスムースに事業承継され、税制上も有利な取扱いとなっております。
事業承継で問題となるのが、上記3のケースです。
親の死から、ご子息が何も準備せずに事業を引き継がなければならないケースです。
であれば、ご子息が事業を引き継がず、廃業するればいいのではないかと思われますが、これがなかなか難儀な問題があるのです。
それは親が事業を行う上で金融機関の融資を受けていた場合です。通常は両親が経営者保証つまり保証人になっている場合が多く、また自宅等の不動産に抵当権を設定されてる場合もあるのです。
金融機関は、事業を廃業されて融資が不良債権となることを避けなければならず、担保不動産の売却か後継者を選任し新たな経営者保証を結ぶ話を進めます。いずれにせよ、金融機関の「まな板の鯉」状態になる傾向にあります。
現在、当所では上記2と3の事業承継案件を同時並行に行っておりますが、勿論、上記2の方が後継者も私もストレスなくスムースに事業承継が進行しています。