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不正還付で国税職員懲戒免職

コラム

2023.05.01

また、悲しいニュースがありました…。

都内税務署の国税徴収官(48歳)が、投資用賃貸マンション2部屋を運用しながら、過去5年間で所得税等176万円の不正還付を受けていたということです。不正還付で受け取ったお金は、借入金返済や管理費用などに使ったとのことです。

なぜ税務の専門家である国税職員が、後で分かるような悪事を働いてしまったのか。まず、国税徴収官と私が長年生業としていた国税調査官とは何が違うのかを説明します。

国税徴収官とは、定められた納期限までに納付されない税金の督促や滞納処分を行うとともに、納税に関する指導などを行う担当官をいいます。つまり、我々に身近な確定申告書の作成や国税調査を担当することはありません。税金をちゃんと納めなかった時に出動する担当ですね。

次に、国税調査官とは、納税義務者である個人や会社等を訪れて、適正な申告が行われているかどうかの調査・検査を行うとともに、申告に関する指導などを行います。つまり、確定申告書の作成や国税調査を担当する皆さんが想像する国税職員ですね。

今回、懲戒免職になった職員は、国税徴収官なので、簡単な確定申告書は作成できたかもしれませんが、税務調査には直接携わることはありません。当然、調査選定に必要な蓄積資料や部外情報などにも触れることはなく、調査選定の流れ自体詳しく知らなかったと思います。課税部(国税調査官が所属する部です)に長年いると、調査選定の感が養われ、後でバレるような悪事が予見できるため自らはそのような悪事を絶対しないのです(課税部でやるヤツはアホです)。

いずれにしても、不動産投資でキャッシュが回らず不正を働いたということであれば、国税職員はもとより不動産投資家としても失格だと思わざるを得ません。

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